2017年10月31日 16:15 日頃は大変お世話になっております。 守谷営業所事務担当の久保です。 以前、アメリカの銅在庫について学びましたが、今回はロンドン金属取引所、
いわゆる「LMEの銅在庫」に注目してみようと思います。 原油や銅など商品相場の報道を見ていると、
しばしば「在庫の減少を背景に上昇」や「在庫の予想外の増加を嫌気して反落」など、
在庫の増減が相場の上げ下げに影響を与えているようです。 これは市場の在庫の増減が、その商品の需要と供給のバランスを示していると
考えられているためです。 さて、2016年からの「LME銅在庫」のグラフを見てみましょう。
このところの「LME銅在庫」は増加と減少を繰り返して方向感がなさそうな動きです。 言い方を変えるなら銅の需要と供給がある程度、バランスしていると考えられるのかも知れません。 しかしここで2008年からの約10年の「LME銅在庫」のグラフを見てみます。
すると先ほどのグラフでは見えなかったものが見えてきます。 その一つが、2016年終わりごろから繰り返す在庫の増減が、
それ以前と比べて不自然なまでに急激なことです。 よく見るとそれは特に在庫が増加するときに急激です。 なぜこのような不自然なことが起きるのでしょうか? ひょっとしたら、通常の実需における需要、供給とは別な要因で、
在庫が増減している可能性はないでしょうか? そう考えると思いつくのが、商品の現物に投資する投資家、
しばしば投機筋と呼ばれる人たちの動きです。 一時期、銅の地金を買い込む中国の投資家が話題になったこともありました。 もし仮に「LME銅在庫」の急激な増加は、一部の投機筋による現物売りの動きだとすれば、
その在庫の増減は、銅の需要と供給のバランスを示したものと考えるには、
無理があるのかも知れません。 また、ニューヨーク商品取引所(COMEX)の銅在庫が増え続けていることや、
上海の取引所在庫の動向も一緒に考えるべきでしょう。 銅の需要と供給のバランスを見ると言っても、簡単ではないようです。 今後もいろいろな観点から「銅相場」を学んでいきたいと思います。
久保 淳